閉店 八幡亭 (やはたてい)
八幡川の上流にある料理屋。古い民家をそのまま使用していて、昔ながらの家庭的な雰囲気。とある農家の本家が、ハレの日の祝いで、ひっきりなしに訪れる客に食事をもてなしているといった感じ。
玄関から店にはいると、いきなり土間にテーブルがふたつ置いてある。ちょっとした違和感がある。そこから居間にあがると、20畳ほどの部屋に座敷がセッティングされている。テーブルは4席×2。座敷は6席×2、4席×3。座敷はのびのびとして、落ち着いている。さらには、座敷から庭を眺めることもできる。こぢんまりとした純日本風の庭。本当に民家そのままって感じだ。
席に着くと、まず温かいお茶が出される。このお茶は、不思議な味がするが、すいすいと飲めて美味しい。茶葉や薬草などを13種類煎じた物だと教えて貰った。日替わり定食の内容を尋ねたら、にこやかに説明してくれた。とっても感じがよい。日替わり定食を注文した場合は、ほとんど待たされることはない。その内容はメインのおかずに、小鉢が2品、香物、デザート。ご飯の量は、女性と男性で分けている。ご飯のお代わりは無料。日によっては、麦ご飯も選べるようだ。
お昼は人気があるようで、座敷はほとんど埋まっていることが多い。客層は主婦が圧倒的に多い。夜は居酒屋にもなるようで、酒に合うおかずが用意されている。鍋物も何種類かあるようだ。日本酒は人気のある良い物ばかりを厳選して、数種類置いている。あと、ぜんざいやおしるこなどの甘味類も充実している。
そうしてやっと登場した御膳は、ボリュームタップリ。麦とろごはん、切り干し大根、カレースープ、たこの刺身、卵焼き、漬け物、みそ汁。これらが当然の如くお膳に乗せられて出てきた。
麦とろご飯は、すでに麦飯にとろろがかけてある。ご飯の量に対して大量のとろろ。しかも、すでに麦飯と丹念に混ぜ合わせてある。これを、ずるりんと啜ると、おもわず頬が緩む美味しさ。そうそう、私はとろろがタップリかかっているが大好きなんだよね。卵かけご飯もそうだけど、とにかく飲み込むように食べるのが大好き。でも、逆にとろろが多すぎるのを嫌がる人もいるようなので、万人向けではないかな。
御膳なだけあって、麦とろご飯以外の品数も豊富だし、大満足な逸品。しかも、ひとのおごりとあれば、その幸福度は無限大であった。(2005.12)