お好み焼き屋。昔、京京(じんじん)という南京豆の店があった跡に入っている。お好み焼き以外にもタコ焼きがあり、通りすがる客がふらりと寄って買って帰るには丁度良い立地条件。席は、鉄板付きのテーブル4席×3、鉄板のカウンター3席。
お好み焼きは、まず鉄板に生地を引き、そこに魚紛をたっぷり降りかける。次ぎにたっぷりのキャベツを乗せた後、何やら白っぽい調味料を降りかける。そうして、コショウ、天かす、もやし、豚肉を乗せ、すぐにひっくり返す。
麺は軽くほぐして鉄板に出し、ヘラでほぐして炒める。程良くほぐれたとことで、コショウとソースをかけて炒める。もし、辛口を希望した場合は、この時点で赤いソースを鉄板に薄く丸く引き、そこに麺を乗せて片面だけに辛口ソースを付着させる。
麺の準備が終わると、今度は本体を丁寧に形を整える。そうして麺と合体させて、仕上げの玉子。玉子はしっかりと焼く。ソースはチューブからかけ、それをハケで丁寧に伸ばす。最後に、青のりと削りぶしをこれまた丁寧にかけて完成。ソースはオタフク。そばはソフト麺。
タコ焼きは、小さめの物が10個。やはり、花鰹と青ノリを掛けるかを聞いてくる。タコ焼きの場合はマヨネーズもある。ソースはあらかじめ掛けてくれているが、更にソースとマヨネーズが追加で付いてくる。保温庫を用意しておらず、作り置きだった場合は電子レンジで温め直す。そんなに熱く温めないので、猫舌の人も安心して食べる事が出来る。焼きたてに遭遇できる確率は半々といったところか。
親父さんが忙しそうにしていると、大判焼きを求める客は100円を置いて、鉄板から直接大判焼きを掴んでゆく。常連客などは、他の客に水を出してあげてる。そればかりか、変わりに代金も受け取っている。それはもう、客のフリをしていて、じつは店員なのではないかと疑ってしまうほど。おぼつかない手つきでお好み焼きを運ぶ姿は、やっぱり、見ていてハラハラする。
そうやって、私のところへもお好み焼きが運ばれてくる。あまりにもハラハラして、自分で取りに行こうかとも思ったけれど、楽しそうに運んでいるので、その楽しみを奪っちゃいけないと静かに待ってみた。
お好み焼きは小さめ。たっぷりのキャベツを盛っていたけれど、細かくきざんでいる上に、強く押しているので、ぺちゃんこになっている。キレイに丸く整えられたお好み焼きは、少し焦げがあるものの、味以上に親父さんの人柄がにじみ出た味わい。食べて美味しいお好み焼きは多いけれど、待っていて楽しいお好み焼きはナカナカない。
お好み焼きは、ちょっと小さめなこともあって、ペロリと完食。うーん、ちょっと物足りないな。などと、大判焼きを食べようと思ったら、すでに完売。店に入ったときは20個以上残っていたのに、数十分で完売とは恐るべし。今度は、先に大判焼きを確保してからお好み焼きを食べようっと。(2007.3)
鉄板の前はカナリの熱さの模様。その鉄板の前に立つのは親父さん。以前は、お爺さんぐらいの方が立っていたけれど、代替わりした様子。その焼き方を見ていると、かなり丁寧で焼き方も以前と違う。そう言えば、大判焼きのメニューが見えない。やめたのかな。電話番号が変わっているようだし、経営が変わったのかも。
そうして、しばらくして、お好み焼きの完成。丁寧に焼かれたお好み焼きは、とってもシンプル。特徴をあげることはできないけれど、素性の良いお好み焼き。ちょっと崩れているところもあるけれど、それはご愛敬。高校野球を楽しみながら、お好み焼き完食。やっぱり暑いなぁ。
(2008.7)