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妄想焼きそば
 
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妄想焼きそば

 いきなり至上命令が下ってきました。焼きそばです。キャベツはシャキシャキが良いですね。大きめに切って強火で一気に炒めあげるのです。ソバはシコシコであるべきです。堅めに茹でた麺をサッと炒めて味付けするだけで良いのです。肉は豚肉に限るでしょう。豚肉の脂がソバに絡まって濃厚な味わいが出てきます。天かすが入っているとなおよろしいですね。あのサクサク感は後を引きます。そして、ソースはやっぱりオタフクです。それは広島人のたしなみなのです。

 そんなインスピレーションが私の脳裏を駆けめぐりました。もうダメです。わたしは焼きそば無しでは生きて行けない体にされてしまいました。でも、どんなに食べたくても、焼きそばの材料はありません。焼きそばはどこにもないのです。どうしましょう。このまま焼きそばを食べずにいたら、私はどうなっちゃうのでしょうか。

 もしかしたら、今晩は夢に出てくるかもしれません。夢の中で、私は見知らぬお店に入ります。その店の中では、見知らぬ男性が美味しそうに焼きそばを食べています。私も同じモノをと注文したら、残念ながら売り切れなのです。私は夢の中でも焼きそばにありつけません。私は、その男の息の根を止めてまで焼きそばを奪おうしますが、その現場を警察に取り押さえられたところで夢は覚めるのです。背中は生汗でびっしょりと濡れて、気持ち悪さと気味悪さが私を包みます。

 更に、私は焼きそば欠乏症にかかってしまうかもしれません。それは類い希な病なのです。600億人に1人と言われるほどの希有な病患です。しかも、この病気はあまりにも症例が少なすぎて、その治療法が確立されていません。不治の病です。一度かかったら最後なのです。私は一生涯を暗い隔離病棟で送ることになっちゃうかもしれません。

 そんな妄想を掻き立てるほど、私は焼きそばを欲しています。でも、時は深夜2時。町の食堂は眠りについてます。コンビニで購入できる焼きそばは、UFOがせいぜいです。いや、UFOが嫌いってワケではないのですよ。ただ、今の私が欲しい焼きそばはちょっと違うのです。恰幅の良いおばちゃんが作ってくれるのが良いのです。「焼きそばひとつね」と注文すると、「はい、焼きそば一丁ね!!」と威勢の良い声で応えてくれるのです。その味わいはお袋の味に共通するものがあるのです。火力の強い鉄板で豚肉が踊ってます、キャベツが舞ってます。ソバが投入されました。ソースの焼ける匂いが堪りません。天かすはたっぷりね。ネギもお願い。マヨネーズ?もちろんかけてください。焼きそばにマヨネーズって案外合うんだよねぇ。ほら、美味しそうな焼きそばが出来上がりました。いただきます。

 あぁ、また妄想に逃げてます。このまま放っておくと、私は夜な夜な焼きそばを求めて歩きさまよっちゃうかもしれません。完全に焼きそばに取り憑かれてます。これは全日本焼きそば協会の陰謀でしょうか。それとも、自国の食べ物を歪められた中華人民共和国々民の恨みなのでしょうか。いやいや、そばの名を奪われた日本そばの呪いかもしれません。なんてことでしょう。私はそんなコトとはつゆ知らず、のほほんと過ごしていたのです。もっと焼きそばに対して警戒しておくべきでした。でも、後悔先に立たずです。焼きそば侮る無かれ、だったのです。皆さんも焼きそばには気を付けましょう。

2003年06月23日

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