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散歩は危険
 
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散歩は危険

 世の中には、けっして散歩をしてはいけない時間帯がある。夕方の5時から7時にかけての数時間がそれになる。特に、空腹時の散歩は要注意だ。町中は夕飯どき。家々の台所から漂ってくる美味しそうな匂いに引き寄せられて、思わず他人の家にあがり込んでしまいそうになったとしても、誰が非難できるであろうか。でも、まんがいち、その現場をお巡りさんに目撃されてしまうと、任意同行は免れないだろう。

 お腹がすいてたんです。という言い訳は通用しない。下手をすれば、世間を騒がしている連続空き巣犯と間違われて、懲役刑を受けてしまうかもしれない。初犯ということで刑期は短いが、会社はクビになる。出所しても、不況のせいで再就職もままならず、ヤケになって本当に空き巣を犯してしまうかもしれない。でも、素人なので、あっさりと捕まってしまい、再び刑務所へ入ることになる。今度は、再犯なので刑期は長い。出所した後は、なおさら働きにくくなる。そうなると、もう自暴自棄になって、罪を重ね続けてしまうだろう。

 そんなことを繰り返しているうちに、やがて刑務所にいる方が居心地が良くなり、刑務所に入るために軽犯罪を繰り返すようになる。刑事さんとも顔なじみになるだろう。捕まるたびに、刑事さんから公正しろよと説教を貰うが、身に付いた習性はそうそう洗い流せない。そうやって月日は流れ、数十年後、孫ぐらい年の離れた看守に見とられながら、人生を終わらせることになるのだ。だから、けっして、夕方には散歩をしてはいけないのである。

 いや、話が変な方向に逸れている。「お巡りさんに目撃」あたりから、ずれてきている。だいいち、美味しそうな匂いがしたからといって、他人の家にあがり込むことはないだろう。せいぜい、家を覗き込んで、どんな料理を作っているのか鼻を利かせるぐらいだ。ちょっと塀に寄りすがって、窓の向こうの料理風景を想像してみるのが楽しい。でも、まんがいち台所の窓と、風呂場の窓が並んでいたら大変。しかも、年頃の女の子が入浴中だと話は変わってくる。

 突然、風呂場から女の子の悲鳴があがり、近所から屈強な男たちが現れるかもれない。当然、痴漢現行犯で羽交い締めに合うだろう。覗いていないと言い張っても、聞き入れて貰えるわけがない。即刻、警察に突き出されることになる。

 警察の取調室でも、無実を訴えるが効果はない。出前してもらった天丼が、散歩途中で嗅いだあの匂いにそっくりだと、悲壮感は更に増す。やがて、刑事さんの執拗な取り調べもあって、やってもいない痴漢行為を自白してしまうだろう。

 痴漢行為は、素直に罪を認めれば軽い処置ですむ。でも、痴漢のレッテルは一生ついて回る。上司や同僚から白い目で見られるだろうし、友達も失うかもしれない。親戚からはつまはじきにされ、親からも勘当されてしまうだろう。そうやって、針のむしろのような人生を送るハメになってしまう。

 そして時が経ち、過去の悪夢を忘れてきた頃。一生の伴侶と呼べる人と出会い、婚約することになる。ところが、相手の親が雇った興信所によって過去の罪が発覚してしまう。もちろん、婚約は破棄。最悪の場合、慰謝料まで請求されてしまうかもしれない。そんな、踏んだり蹴ったりの人生をおくることになってしまうのだ。だから、けっして、夕方には散歩をしてはいけないのである。

 いや、だから、話が変な方向に逸れてるんだってば。

初筆:2002年05月15日
加筆:2004年07月14日

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