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遺物
 
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遺物

 ご飯は炊きたてに限ります。やっぱり古々米よりも古米。古米よりも新米がよいですね。そんな新米を10合くらい沢山炊くのが一番です。米は多く炊けば多く炊くほど美味しいのです。もちろん、研ぎ加減、水加減で失敗してはなりません。お米がつやつやと立っているのが最高なのです。芳ばしい米の匂いが私を擽ってくるのです。そんなこんなで、炊きたてのご飯は私を狂わします。その香りはセイレーンの歌声にさえ匹敵するのです。もう居ても立ってもいられませんっ。

 いくら炊きたてのご飯といえども、それだけで食すにはいささか問題があります。せめて、漬け物くらいは欲しいところです。百歩譲ってもみそ汁でしょう。ご飯だけを食卓に並べられても私は当惑するだけです。いや、だから当惑するって言ってるでしょ。ちゃんと人の言うこと聞きなさい。ご飯だけ炊いてどうするの。おかずの用意もしてくださいよ。

 でも、私の要望はことごとく聞き入れられません。そりゃそうです。我が家には私独りきりしか居ません。ご飯を不当に沢山炊いたのも、おかずを用意していないのも、それに対して文句を言ってるのも私ひとりがやってるコト。まさに独り相撲も良いところです。問題は、この相撲には行司も審判員も相手方さえもいないコト。この怒りはどこへぶつければよいのでしょうか。

 すべては私の不徳の致すところです。食材を買い忘れておりました。いや、忘れていたのではありません。私は冷蔵庫の中になにかあるであろうと楽観視していたのです。要するに面倒くさかったのです。私の怠惰な性格と食いしん坊の性分が災いして、最悪の結果を生んでいます。どうしましょう。

 しかし、嘆いてばかりもいられません。なにか打開策を練る必要があります。電気釜はすでに炊きあがり、今は蒸かしの状態にあるのです。刻は急をせいています。いっそのコト、塩をかけて食べてしまいましょうか。いや、それはちょっと空しいです。お酒はいかがでしょう。いや、まだお昼です。マヨネーズはどうでしょう。いや、その一線だけは越えたくありません。そんな風に食材を物色していると、水屋の奥底からサンマの缶詰を発見しました。まだ私は見捨てられていなかったようです。

 私、サンマの蒲焼きって好きなんですよ。缶詰の中では3本の指にはいるほどの大好物です。心うきうきなのです。しかし、浮かれた私の目にトンデモナイものが目に入ってきました。缶の裏側に、「00/11」と表記されていたのです。その缶詰は賞味期限が昨年の11月だったようです。サンマの蒲焼きは美味しそうな写真を見せびらかしながら、その正体は前世紀の遺物だったのです。食べると大変なコトが起こるのです。

 そうやってすったもんだしていると、とうとう、電気釜が蒸らし完了の合図をピーと鳴らしちゃいました。呼応して、私のお腹は空腹の合図をグゥーと鳴らしてます。果たして、私はあらがうコトが出来るのでしょうか。いや、私は自分自身を信じています。私の胃腸はそんなにヤワではないハズです。

2001年03月5日

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