竹寿司 美の里店 (たけずし) 

    寿司屋。宮島街道から少し離れたところに、ひっそりと佇んでいる。特に目立つところはないが、落ち着いて存在感のある店がまえ。板場は入り口と向き合うように設置してあり、店にはいると、親父さんが威勢良く迎えてくれる。カウンターは6席。板場がすこし高い位置にあるので、カウンターに座ると親父さんを見上げるような感じになる。カウンターと板場の間には、水が流れていて、その流れる音が耳に優しい。座敷は別室になっていて、テーブルが4席×5。

    寿司は皿に盛られて出てくる。特に穴子に力を入れているようで、まず穴子から食べるよう説明される。じゃないと、折角の焼きたてが冷めてしまうそうだ。親父さんは寡黙で、必要以外のことは喋らないが、無愛想というわけではないので、疑問に思ったことは怖がらずに聞いてみよう。

    広島市佐伯区美の里2-1-45
    082-923-6001
    開店時間:昼、夜
    定休日:水曜日
    ※新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、開店時間や定休日が変更されている可能性があります。
    駐車場:あり


    もう一言
    久しぶりの竹寿司。と言っても2回目。それも前回は15年以上も昔のことで、子供の頃の話だ。その時の記憶をどうにか掘り起こそうとしてみたけど、どうにも思い出せない。カウンターに座って、すこし寒かったような覚えがあるので、おそらく冬だったのだとは思う。それ以上はどうやっても思い出せない。悔しいので、今回は、記憶を新たに植え付けておこうと訪れてみたのだ。

    店にはいると、親父さんと奥さんが迎えてくれた。少し高級感が漂う中にも、家庭的な優しさが伴う不思議な雰囲気。カウンターに陣取ると、にぎりのセットはこちらですとメニュー札を手指してくれた。今日は豪勢に「梅にぎり」を注文。すると「上にぎり」とのかけ声。板場はカウンターよりも位置が高いので、仕事の風景はのぞき見ることが出来ない。少し隔たり感を感じるし、親父さんとも会話し難い。

    しばらく待って、寿司の登場。皿に盛りつけてあって、穴子、イカ、車エビ、トロ、さより、数の子、はげ、ウニ。穴子は暖かい内にとのことなので、穴子から頂く。とても一口では食べきれない大きさ。箸で一口大に割いてみると、とっても柔らかい。口に入れると、ほろりと崩れてゆく感触が心地よい。焼きたてで芳ばしく、昼真っから酒を飲みたくなってしまう。

    車エビはおどりで、まだしっぽがピクピクとしていた。さらに、頭を炙って添えてある。この頭が美味しいんだよ。嬉しいな。最後に食べた白身は正体不明。後で聞いてみると、ハゲとのこと。ハゲの寿司って初めてだなぁ。ハゲというと、煮物か生チリしか食べたことがなく、ゴリっと柔らかい食感が新鮮だった。あと、サービスのヒラメの吸い物が、塩だけの味付けで、控えめながらも、さわやかな旨味がついつい後を引く。全体的に量は少な目だけど、満足度の高い昼飯だった。でも、やっぱりサラリーマンの昼飯にしては高すぎるなぁ。(2004.12)