閉店 つるや
お好み焼き屋。宮内交差点から佐伯町方面へ向かう道沿いにある、プレハブの建物になる。なじみの人間でないと、入りづらい佇まい。お好み焼き以外にも、カレーライスなどのご飯物もある。でも、客の注文はほとんどお好み焼きか、焼きそばに集中している。店内はがらんと広く、カウンター10席、うち鉄板は4〜5席。テーブルは4席×2。客層は、会社勤めの人たちがほとんど。持ち帰り客も多く、こちらは近所の主婦がほとんど。
昼時は客も、注文の電話も多いので、鉄板上はナカナカの修羅場になる。お好み焼きは、生地の上に麺を置く焼き方。水気の多い生地を鉄板に敷き、魚粉をたっぷり、その上に麺を置く。更に、キャベツ、天かす、もやし、豚バラ肉を載せて、しばらく放置。そうして、ひっくり返した後もしばらく放置。ほとんど、お好み焼きにさわらず、最後に軽く押し焼きする程度。仕上げは、味の素、青のり、胡麻が振りかけられる。ソースはオタフク。そばはソフト麺。
お好み焼きは、親父さんと奥さんの二人で手分けして焼く。親父さんは、一見怖そうなイメージ。奥さんは柔和なかた。客もほとんど常連さんだけの様子で、近所のお好み焼き屋さんの王道をひた走っている店だ。
扉を開けると、迎えてくれたのは、鉄板の向こうの老夫婦。他に客は居ない。私は鉄板に座るやいなや、肉玉うどんのイカ天入りを注文。店のことは良く分からないけれど、私の食べたいお好み焼きだけは良く分かっている。お好み焼き屋って、こういうところが便利だな。
私たちのお好み焼きを焼きはじめたとたん、電話が鳴り響き、客がわんさかとやってくる。あれよあれよという間に、店内は満席。電話注文も30分待ち。そんな中、親父さんは黙々とお好み焼きを焼いてゆく。やがて、私のお好み焼きが焼き上がるが、鉄板の上は、さらなる追加のお好み焼きでいっぱい。私は少し小さくなりながら、端の方でお好み焼きをいそいで食べる。その端の方でも鉄板の熱さはかなりのもの、いかにも近所のお好み焼き屋って感じが更に醸し出されている。味はごくごく普通だけれど、こういった雰囲気が人気なのだろうなぁ。(2006.1)