海老山への入り口付近にある定食屋。ラーメン専門店に見えるけれど、ラーメンはウリのメニューの一つに過ぎない。店の年季の入り方は半端でなく、初めての入店には相当の勇気が要る。でも、店のおばちゃんは、初めての客にもフレンドリーでとっても居心地がよい。店内はこぢんまりとしていて、長細いカウンター2列で、合計12席。
カウンター前にはガラスの陳列棚があり、そこにおかずが数種類並べられている。おかずの7種盛り、天ぷらの盛り合わせ、焼き魚、などなど。長州定食は、その中から2皿選べて、ご飯とみそ汁が付く。ラーメン定食は、おかず1皿にラーメンとご飯。うどん定食もおかず1皿にうどんとご飯になる。なお、おでんも用意されていて、おかず1皿をおでん3個に変えることも出来る。
中華そばは、とんこつ醤油の正統派な広島の中華そば。中太ストレート麺、もやし、ねぎ、チャーシュー。
しかし、やはり、この店は一癖も二癖もある。カウンターにでんと置かれた大鍋には、黒いダシにおでんが浸かっている。店の奥には、神棚があり、御神酒と新鮮な榊が捧げてある。カウンターごしに覗く厨房は、壁一面が油まみれで、手のひらで触れたら、手のひらが油まみれになって、10回洗っても油が堕ちないのではないかと不安になるほど、ギトギトだ。その油ギッシュな壁の下で、おばちゃんが忙しそうに動き回る。揚げたての天ぷら、カツ。しごう済みのもやし。出来たてのスープ。それらが、絶妙に配置されていて、ほどほどに効率的な調理が出来るようになっている。それは、計算された物ではなく、長年の経験から自然にそうなってきたものだと思われる。
私は、そんな光景に圧倒されながら、ラーメン定食を注文。おばちゃんの説明によると、ラーメン、ごはん、おかず1品の内容らしい。そう説明を受けて、やっと、カウンターと厨房の間におかず用のガラスケースがあることに気がついた。鯖の塩焼き、天ぷらの盛り合わせ、おかずの盛り合わせ。家庭的なラインナップ。
注文すると、すぐにご飯が登場。とりあえずは、これとおかずで食べておいてちょうだいという意味だと思う。でも、全く待たされることなく、ラーメンの登場。カウンター越しに渡されたラーメンどんぶりは、ナカナカのボリューム。気合いを入れて食べないと、完食は難しそう。
そうして、一心不乱にラーメン、ごはん、おかずを胃袋に収めていると、背中から「ボーン」と低い音が響く。振り向くと、そこには古めかしい時計が鎮座している。もう、申し分ないほどのシチュエーションに、クラッとしながら定食を完食。と言っても、ラーメンのスープを残してしまった。これは、よっぽどお腹が空いてないと全部食べられないな。次回は、単品を食べよう。丼物が気になるな。(2006.5)
出てきた親子丼は、ちゃんと蓋がしてある。その蓋の上にふた切れのたくわん。熱々のみそ汁も付いている。蓋を開けると、刻みネギが軽く乗せられた親子が目に飛び込む。早速、一口食べると、軽く甘めの味付け。こういう味付け、めっちゃ好みだな。嬉しくなる。
タマネギは柔らかく量は少な目で、ご飯と卵の邪魔することなく控えめにしている。卵は程良い半熟具合で、ご飯に絡まっている。鶏肉も丁度良い火の通り。う〜ん、この親子丼、私のツボにはまりすぎ。他の丼物も食べてみたいなぁ。(2006.7)
直ぐにご飯が出てきて、いただきます。総菜の内容は、茄子の天ぷら一切れ、ササミとキュウリのゴマだれ和え、切り干し大根、大根と牛蒡の炊いたの、煮玉子半分、辛子明太子。そうしてバクバクと食べているとみそ汁も出てきた。相変わらずの熱々みそ汁。そのまま一気に食べ続けて5分ほどで完食。時間がないときにはちょうど良いなぁ。(2010.3)