井口台のメインストリート沿いにある寿司屋。店内はキリッと高潔感がある。でも、気軽に入ることの出来る雰囲気を保っている。席は、カウンター8席、テーブル4席×2、2席×2、あと奥に座敷がある。店内は、全ての席を板場から見渡せるよう、こぢんまりとしている。
お昼のメニューにある「特上にぎりと本日の○○」の「○○」の部分は季節の料理になっており、10品ほど用意されている。天ぷら、あら炊き、サラダなど多彩なラインナップになっている。
お昼の内容は、まず小鉢が提供され、「本日の○○」、にぎり5貫、土瓶蒸し、にごり5貫の順番となる。最後のにぎりは巻物や玉子焼きも含まれる。ちらしの場合は、大きなうつわに盛られたちらし寿司が提供される。
今日は無理矢理の機会なので、無理矢理に特上にぎりを注文。本当は無理矢理に将軍にぎりを注文してみたかったのだけれど、それは無理矢理と言うよりも無謀だったのでやめておいた。注文後、すぐに登場したのは魚の皮と肝のポン酢和え。妙に落ち着くこの一品は、実にお酒が飲みたくなる一品。さすがに、無理矢理に酒を飲むのも無謀なのでやめておいた。
しばらくして、最初の一皿目がやってきた。長細い皿に、寿司が5貫。鯛、海老、ヒラメの昆布締め、とろ、イカ。もしかしたら、白身魚は間違っているかも。ちょっと自信なし。これにガリとキュウリ漬けがついてきた。シャリはどれも人肌よりも若干ぬるめの温度。寿司はトロ以外は全て味付けが施してある。食べていて、米の一粒一粒がハッキリと分かるほどシッカリしている。でも固いわけではない。あと、どれもサビが入っていない。もしくは、入っていてもカナリの少量だったのかも。
そうして一皿目を食べ終わると、土瓶蒸しの登場。早速一口飲んでみると、強烈な椎茸の風味。椎茸以外の正体が分からないので、蓋を開けて、中をつついてみる。肉厚の椎茸、はまぐり、魚のアラ、ぎんなん、三つ葉。魚のアラはやっぱり鯛かな。よく分からないけれど、とにかく美味しい。で、具を食べきったところで、お汁を一口。いや、実に複雑なスープになったよ。うんまいうんまい。更に、すだちを絞って風味を変えてみても、やっぱりうんまい。一瓶で三回美味しいな。
と、土瓶蒸しを飲み干したら、次の一皿。今度は巻きもの。穴子巻き、トロ鉄火巻き、ウニの軍艦巻き、いくらの軍艦巻き、卵焼き。穴子はツメも一緒に巻かれているので、ムラサキに付ける必要はなし。これが旨い旨い。トロンとサクッとフンニャリと、とにかくいろんな食感が旨味と共に口内を駆け回っていく。最後にイクラを食べて寿司は終了。濃厚なイクラがシャリと絶妙なハーモニー。あまりイクラを食べることはないけれど、このイクラならいくらでも食べたい。
で、まるでスイーツみたいな卵焼きを食べて、締めくくり。と思っていたら、ひょいと茄子漬けのにぎりの登場。にぎりが緩く、最後に食べるにはちょうど良いさっぱり具合。これは嬉しいな。で、最後にアガリでノドを潤して、オアイソお願いします。
2625円という値段はお昼としてはカナリの金額だけれど、内容は金額以上。ちょっとしたハレの日に、ささやかな贅沢をするのにうってつけ。例えば、映画を見て1000円のランチを食べるのを止めて、小次郎寿司で特上にぎりを食べるのもアリだと思う。これで時間があるならば、鯛のあら煮付きを食べたいな。でも、それこそお酒が欲しくなりそう。(2008.2)