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リンク持論
 
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リンク持論

 インターネットコンテンツの主流を占めるウェッブページ。インターネット上には数限りないウェッブページが存在している。その数は少なく見積もっても40億以上となり、とほうもなく広大な世界になっている。それはまだまだ拡大を続けているようで、近い将来に地球の総人口数を追い抜いてしまうのは、間違いないだろう。追い抜いたからと言って、何がどうなるってワケではないけれど。

 ところで、ウェッブページとはいったい何者なのだろうか。専門的なことは分からないが、ウェッブページを記述するには、HTMLという単純な言語が用いられている。HTMLはマークアップ言語と呼ばれ、タグと呼ばれる予約語で成り立っているそうだ。

 タグである。例えば、宅配物に括り付けてあるタグには、配送先や送り主の名前が記入されている。例えば、間抜けなお姉さんが、買ってきた洋服のタグを外さずに着ていることもある。例えば、スーパーの陳列棚に無造作に置かれたチンゲンサイ。それに貼ってある148円という値札もタグである。そういえば、私は子供の頃、そのタグを貼り替えて遊んだものだ。チョコレートから100円のタグをはがし取り、高価な国産牛肉のタグと貼り替えて遊んでいた。かわいいイタズラである。果たして、100円の国産牛肉を購入したラッキーな人はいたのであろうか。ちょっと気になる。

 話がそれたが、タグとはそういうものである。では、HTMLのタグはどのようなものと解釈すればよいのだろうか。おそらく、そのまま言葉の通り、タグは下げ札のイメージを表しているのだと思われる。ウェッブページに色んな性質の札を貼り付けて、そこに情報を書き込んでいくのだ。タイトルタグには表題を書き込み。段落タグには一節の文章を書き込む。そうやってひとつのウェッブページが出来上がるのである。

 さて、このタグの中にリンクタグと呼ばれるものがある。個々のウェッブページを接続するための予約語だ。40億以上も存在するウェッブページが、それぞれ完全に独立していては意味がない。このリンクタグがあるからこそ、ウェッブページが集合体として成り立っているとも言える。

 タグの中でも結構重要な役所を引き受けているリンクタグ。これは一般的にリンクをハルとも呼ばれているが、ひとつ気になることがある。リンクは張るものなのだろうか。それとも貼るべきものなのだろうか。リンクをハルという言葉自体が新しいものなので、どの漢字を用いるのか、明確な定義づけを見聞きすることがない。困ったモノである。仕方がないので、自分なりの解釈を模索してみようと思う。

 結論から述べるなら、張るを用いても、貼るを用いても間違いではない。ただ、そこにはニュアンスの違いがあるようだ。例えば、

「リンクを貼った」

これを言い換えるなら、

「私は、自分のウェッブページにリンクタグを貼り付けた」

 すなわち、リンクをハルための作業を表している。自分のウェッブページにリンクタグと呼ばれる札を貼っただけ。それは貼った本人の勝手でしょ、という世界。カラスが鳴くのも、リンクを貼るのも、勝手なのである。極端な話、リンクが貼られたウェッブページを公開せず、一人で悦に入ってても構わない。さらに、リンクタグに記入された情報が間違っていても、リンクタグを貼っていること自体には問題がない。次に、

「リンクを張った」

これを言い換えるなら、

「私は、自分のウェッブページで、他のウェッブページを紹介した」

 こちらは、他者のウェッブページへリンクをハルという主張を表している。リンクタグを貼っただけじゃなく、ちゃんと意志を持って、相手先を紹介している。文字通り、"World Wide Web"、すなわち、世界中に張り巡らされた広大な情報網の一端を担っていると言える。また、リンクを貼り巡らすことは出来ないが、リンクを張り巡らすことは出来る。そこに両者の違いが明確に出ている。

 さらに、「リンクを張る」行為は、リンクを張る本人と、張られる相手の両者が存在しないと成り立たない。そして、そのリンクを閲覧する第3者も必要だ。一人で悦に入っているようではダメなのだ。もちろん、リンクタグの情報が間違っていると、リンクを張っているとは言い難い。

 では、これらの解釈を踏まえて、実際に「リンクを貼る」という表現を用いた場合、どのような意味になるのだろうか。

 例えば、他人から「あなたのウェッブぺージへリンクを貼りました」との報告があったとする。これは「リンクの作業が完了しました」と言っているようなものだ。ビジネスの作業報告書じゃあるまいし、いきなり作業完了の報告を聞かされた方は戸惑うしかない。そりゃ、リンクをハッタ本人としては、そのリンクを早く誰かに見て貰いたいのは分かる。そして、リンク先の相手に、真っ先に見て欲しいと考えるのは当然だろう。それならば「リンクを張りました」と表現して、「紹介しました」の旨を報告したいものだ。

 報告する気がないにしても、「リンクを貼る」という作業だけでコトを済ましてしまうのは中途半端だ。まぁ、自分のサイト内でのリンクであれば、「貼る」といった表現もあり得る。でも、他者へのリンクならば、ハッキリとした意志を持ってリンク先を紹介したい。それが、「貼る」という表現からは、何の意志も読み取ることは出来ない。いや、もしかすると、そこには「私は何も考えてない。何の責任も持ちたくない」などといった、思考停止や責任回避の意志が隠されているのかもしれない。

 そんなふうに、「張る」と「貼る」には、大きなニュアンスの違いがある。以上のことから、私としては、「リンクを貼る」という用法はあまり使いたくない。リンクをハルときも、ハラレルときも、それが「張る」なのか、それとも単なる「貼る」なのかを注意深く意識しておこうと思う。

初筆:2003年07月30日
加筆:2004年06月7日

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